ハード系のパン作りをしていると、クープが綺麗に出なかったりすることがありますよね。
もちろん生地の状態も重要であるのですが、「クープ作り」「焼成」が重要であることも確かです。
そこで本記事では、ハード系パンに重要なクープや家庭用オーブンレンジでハード系のパンを作る時の注意点やポイントを解説します。
ハード系パンで重要なクープとは?
フランスパンのようなハード系のパンには表面に割れ目のような切れ目を入れ、模様をつけて焼くことが一般的です。
この切れ目をクープと呼び、主に以下の3つの役割があります。
- パン生地を膨らませる
- 火の通りをよくする
- 見た目をよくする
ここから一つずつ詳しく解説していきますね!
パン生地を膨らませる
水・小麦粉などのシンプルな材料で作るハード系パンは、油や卵が入る膨らみの良いパンと比べて、膨らむ力が弱い特徴があります。
オーブン内で加熱時に膨らみきる前に表面が焼き固まるため、生地が膨らみ切ることができず目の詰まったパンになってしまいます。
そこで、クープ(切れ目)を入れることで生地内部の湿った部分から水分や膨張した空気をうまく逃がすことで、パンをふっくらと焼き上げることができます。
表面が焼き固まると目が詰まって硬いパンになってしまいます!
火の通りをよくする
生地に含まれる水分がクープから蒸発していくため、火通りが良くなります。
ハード系のパンで水分をしっかりと飛ばすことは非常に重要であり、焼き上がりの気泡サイズがバラバラになることで軽い食感を産むことができます。
つまり、フランスパンに見られる大きな大小様々な空洞は、綺麗にクープを入れることができた証と言えますね。
パンの見た目をよくする
クープを綺麗に引いておくことで、そこから生地が開いて膨らむため、仕上がりの形が安定します。
逆にクープを入れずにフランスパンを焼くと、ランダムに膨らんで生地が裂けてしまうため、いびつな形になってしまいます。
たまに上の写真のような綺麗な模様も見るけどこれはなに?
これは、飾りクーペと言って生地の表面に浅く模様を入れることでデザイン性を上げることができるよ♪
クープの良し悪しは、パン職人の技の見せ所と言えるポイントであり、クープが綺麗になっていないだけで気にする人もいるほどです。
クープで使う道具とは?
クープはナイフやカミソリを使う方も多いと思いますが、「クープナイフ」という道具もあり、多くの種類が発売されています。
クープナイフの種類をまとめると主に「刃の着脱可能」「刃が一体型」の2種類があります。
家庭用で使用するには、基本的にはどちらでも問題ありませんが、刃が外せるタイプの方が種類も多いため、好みのものが見つかるかもしれません。
また、お手入れに関しては、洗った後にペーパータオルで水分を拭き取って刃が錆びないようにしっかりと乾燥させましょう。
クープを上手に入れるポイント
クープは、パン職人の腕の見せ所でもあるため、綺麗なクープを入れたパンはとても喜ばれます。
そんなクープですが、主に以下のポイントに気をつける必要があります。
- 生地をしっかり乾燥させる
- クープを2回なぞる
まず、一つ目は生地をしっかりと乾燥させることが大切です。
タイミングとしては、基本的に2次発酵後の加熱直前に生地の表面が少し乾燥している状態だとクープが入れやすくベストです。
また、パン生地の表面に打粉をしておくことで、パン生地の表面の水分を吸収してくれるため、クープがスムーズに入るようになります。
クープは入れ始めと終わりが浅くなりがちなので、全体に2回クープを入れましょう
ハード系パンをオーブンで綺麗に焼くための注意点
ハード系パンでよく見られるクープですが、オーブンに入れてから最初の5~10分でクープが開き、中心から外に向かって蒸気と温度が放出されます。
ハード系パンに重要なクープを綺麗に焼くポイントは以下の通りです。
- 蒸気を発生させる
- 温度管理を徹底する
オーブンのスチーム機能を活用する
パンを綺麗に焼くときにとても重要なのが、蒸気(スチーム)です。
蒸気(スチーム)の役割は、以下の通りです。
- パンにツヤを出す
- クープが開く前にパンが焼き固まるのを防ぐ
昨今のオーブンレンジには、スチーム機能付きのものが多く、ご家庭でも美味しいハード系パンを作ることができます。
もしオーブンにスチーム機能がなかった場合には、生地の上に霧吹きで水分を追加し、耐熱性のお皿に水を入れて置くだけでもパリッとふっくらしたパンを焼くことができます。
どちらにしろ、庫内の水分量は焼き上がりに大きく影響が出るため、ご自宅のオーブンで最適な焼き方を研究してみてもいいでしょう。
どうしてもうまく焼けない場合は、パンを上下2段に置いて焼くこともおすすめです。
パン同士の水分が出ることで適度に庫内の湿度を保つことができるため綺麗に焼きやすい傾向にあります。
オーブン庫内の適切な温度管理を行う
ハード系のパンでクープを綺麗に出すためには、オーブン庫内の温度管理も重要です。
クープは焼成中のパンが大きく膨らむときに、切れ目から蒸気や空気が放出されることで綺麗に開くことができます。
しかし、温度が高過ぎるとパンが大きく膨らむ前に表面が焼き固まってしまい、目の詰まったパンになってしまいます。
クープの状態 | パンの焼きあがり |
---|---|
綺麗に開いている | 程よく空気・水分が抜け、ふっくらとした食感 |
開きが悪い | 表面が焼き固まり目が詰まって水分が多い食感 |
両者を食べ比べてみるとわかりますが、全く違うパンだと感じるくらい美味しさが変わります。
オーブンにも癖があり、250度で設定しても240度しか出ていないものもあれば、260度くらい出ているものまであります。
焼いてみて、色づきは良いけど、クープがあまり開いていない場合は思い切って温度を下げてみましょう。
また、オーブンの出し入れはなるべく最小限にしましょう。せっかく適正温度まで上がっても、家庭用オーブンは小さいため、出し入れですぐに温度が下がってしまいます。
ハード系パン作りではオーブンの温度にこだわるべき?
ハード系のパン作りには、クープがあり、クープはオーブン内の温度と水分量が重要であるとお伝えしましたが、実際に庫内の温度を一致させたからといって必ず同じ焼き加減になるわけではありません。
オーブンの癖・生地の温度・室温など多くの指標で変わるため、家庭で毎日同じように焼くためには、日々パンを焼いて経験を積む以外にはありません。
そこがパン作りやお菓子作りの面白いところでもありますよね。
本記事では、ハード系のパンを焼くコツについて解説してきました。
ぜひ自宅のオーブンの相性を探ってみてくださいね♪
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